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§1.事業計画の記載事項及び変更の手続き

(道路運送法15条、道路運送法施行規則15条の2)

事業計画とはその名の通り、どこの区域(営業区域)で仕事をし、どこに営業所を設置し、どこに車庫を設置して開業するのかを計画にして提出するもの。

個人タクシー事業の許可申請するものは以下の3点を事業計画に定めなければならない。

ゆえに、以下の事項以外を事業計画に定める必要はない。よって、以下の事項以外のことを事業計画に定めなければならないような文脈の問題は×となる。

 事業計画の記載事項            手続き方法

  ①営業区域               認可

  ②自動車の車庫の位置及び収容能力    認可

  ③主たる事務所及び営業所の名称及び位置 遅滞なく届け出

 

※  事業者が定め認可を受けなければならないものに運送約款がある。

これには別事項を7つ定めなければならない。この運送約款の定める事項と事業計画に定めるべき事項を絡ませた○×問題がよくでる。

また上記の事項を変更するときも手続は記載したとおりである。○×問題では上記事項を変更したときの手続の違いを判っているかを問う問題が多い。あと記載事項の項目を理解しているかを問う問題も多い。

例・・・・

「営業所の位置を変更するときあらかじめ届出が必要である。」→×下線部分が間違っている。

「車庫の位置を変更した場合、遅滞なく届出が必要である」→×車庫はあらかじめ認可を取る必要がある。
 

§2.運送約款(道路運送法11条)

少なくとも運賃及び料金の収受並びに一般旅客自動車運送事業の責任に関する事項が明確に定められていること。

「運送約款」と「標準運送約款」<道路運送法 第11条>

「運送約款」ってなに????

ようは約束事である。お客との約束事。

「~~~かくかくしかじか・・・このようなことを守って旅客運送の事業を行います」

といった約束事項を記載したもの。

 

◇運送約款の申請手続きは、認可!!

◇運送約款は事業主が作るもの!!

◇標準運送約款は国が作った運送約款の雛形!!

◇運送約款に定める事項は七つ!!   <道路運送法施行規則 第12条>

運送約款に関する○×問題は以上の四点に関することを理解しているかどうかを問う問題が多い。

 

運送約款には大きく分けると二種類ある。

①    私製の運送約款・・・事業主が好きなように作るもの。作ったあと、国土交通大臣の認可を得なければ履行できない。

②    国製の運送約款・・・これが標準運送約款。国が太鼓判をすでに押している運送約款。

 これと、同じ運送約款を定める事業者はすでに認可を受けたとみなす。
 事業を開始するに当たって標準運送約款用いて事業を始めることを書類によって届けると同時に認可を受けたことになる。

 通称、「自動認可」という。

 

運送約款に定める事項・・・・7つ!!<道路運送法施行規則 第12条>
 一、 事業の種別
 二、 運賃及び料金の収受又は払い戻しに関する事項
 三、 運送の引き受けに関する事項
 四、 運送責任の始期及び終期
 五、 免責に関する事項
 六、 損害賠償に関する事項
 七、 その他運送約款の内容として必要な事項

※   運送約款に関する○×問題・・・

手続方法が「認可」なのか?それとも「あらかじめ届出」なのか?「遅滞なく届出」なのか?その部分を理解しているかを問う問題が多い。

記載事項の内容を把握しているかどうかを問う問題も多い。事業計画」に記載するべき事項と「運送約款に」記載するべき事項の違いを把握しているかを問うようなかたちでよく問題が出される。

<例1>営業所の名称及び位置を運送約款に記載しなければならない。○か?×か?

答は×である。営業所の名称及び位置は事業計画に定める事項であるからこの問題は×が答となる。

<例2>運送約款には事業用自動車の車庫の位置及び収容能力に関する事項を定めなければならない。

○か?×か?

答は×である。車庫の位置及び収容能力は事業計画に定める事項なのでこの問題は×となる。
 

運送約款に関するポイントを表にまとめると以下のようになる。

運送約款の手続きは認可。種類は二つ。私製と国製

 

事業主が作るもの(私製の運送約款)

①事業の種別

②運賃、料金の収受:払い戻し

③運送の引き受け

④責任の始期:終期

⑤免責

⑥損害賠償

⑦その他

 

標準運送約款 国が作った雛形

事業主がこれを採用するときは自動認可

事業主がこれに変更するときも自動認可

 

※   標準運送約款に関する○×問題・・・

「特約」の意味の誤解・・・・<標準運送約款 第1条>

ここで、「特約に応じた場合は、当該条項の定めにかかわらず、その特約によります」という文脈があるが・・・

この特約とは、お客をえこひいきしてあげることではない。

「特約」とは主にチケット契約のことをいっている。

本来、現金商売がタクシーである。法令の定めだと運賃、料金は下車時に頂くことになっている。

チケット支払は基本的に後払い方式・・・ゆえに下車時にその金額を実際に頂いていることにならない。

チケットは事業者(組合等の団体)とお客の間で事前に契約した特別な支払い方法。

これを、「特約」という。

よく引っ掛け問題で、

「特約に応じたときは認可を受けた運賃でなくてもよい」・・・○か?×か?

と問う問題がある。もちろん答は×。運賃、料金は認可を受けたものでなくてはならない。

 

§3.運送の引き受けの義務・拒絶

Ⅰ.道路運送法13条

次の場合を除いては、運送の引受けを拒絶してはならない。
一. 当該運送の申し込みが認可を受けた運送約款によらないものであるとき。
二. 当該運送に適する設備がないとき。
三. 当該運送に関し申込者から特別の負担を申し込まれたとき。
四. 当該運送が法令の規定又は公共の秩序若しくは善良の風俗に反するものであるとき。
五. 天災、その他やむ得ない事由による運送状の支障があるとき。
六. 前各号に掲げる場合のほか、国土交通省令で定める正当な事由があるとき。

 

Ⅱ.旅客自動車運送事業運輸規則13条

次の各号の一に掲げる者の運送の引受け又は継続を拒絶することができる。
一. 法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反する行為に対する制止又は指示に従わない者。
二. 危険物等を携帯している者。
三. 泥酔した者又は不潔な服装をした者等であって、他の旅客の迷惑となるおそれのある者。
四. 一類感染症、二塁感染症若しくは指定感染症の患者又は新感染症の所見がある者。

Ⅲ.旅客自動車運送事業運輸規則50条6項

法令の規定により回送版を掲出しているとき。

※  (危険物等)旅客自動車運送事業運輸規則52条
①   100gを超える玩具用煙火(花火)
②   0.5リットルを超える灯油類(引火性液体)
③  500gを超えるマッチ

危険物に関しては別紙資料を参照
 

※  著しく離れた区域(事業区域の境界から概ね50kmを越える区域)

高速自動車国道においては、以下のインターチェンジ以遠をいう。
東名高速道路・・・御殿場IC    常磐自動車道・・・土浦北IC
中央自動車道・・・大月IC     東関東自動車道・・・大栄IC
東北自動車道・・・館林IC     関越自動車道・・・花園IC

 

○×問題のポイント
運送の引き受け事項に関する問題は、どのような場合のみ運送引き受ける義務が免除されるのかを把握しているかどうかを問う問題が多い。

 

§4.事故の取扱い

Ⅰ.全ての事故

1.事故の記録(旅客自動車運送事業運輸規則26条の2)

事業用自動車に係る事故が発生した場合には、次に掲げる事項を記録し、運行を管理する営業所において3年間保存しなければならない。
一.  乗務員の氏名
二.  事業用自動車の自動車登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示
三.  事故の発生日時
四.  事故の発生場所
五.  事故の当事者(乗務人を除く)の氏名
六.  事故の概要(損害の程度を含む)
七.  事故の原因
八.  再発防止策

2.事故の処置(旅客自動車運送事業運輸規則18条、19条)
①運行を中断したとき
  一.  旅客の運送を継続すること
  二.  旅客の出発地まで送還すること
  三.  旅客を保護すること
②死傷者のあるとき
  一.  死傷者のあるときは、すみやかに応急手当
  二.  死者又は重傷者のあるときは、すみやかにその旨を家族に通知すること
  三.  遺留品を保管すること
  四.  死傷者を保護すること

Ⅱ.重大事故
1.    事故の報告(道路運送法29条)
   事業用自動車が転覆し、火災を起こし、その他重大な事故を引き起こしたときは、遅滞なく事故の種類、原因その他の事項を国土交通大臣に届け出なければならない。


  2.具体的な内容(自動車事故報告規則2条)
一.自動車が転覆、転落し、火災を起こし、又は踏切で鉄道車両と衝突し又は接触したもの
二.10台以上の自動車の衝突又は接触 
三.死者又は重傷者を生じたもの
四.10人以上の負傷者を生じたもの
七.操縦装置などの不適切な操作
八.酒気帯び運転、麻薬等運転
九.運転者の疾病により運転できなくなったもの
十.救護義務違反(ひき逃げ)
十一.自動車の装置の故障により運行不能となったもの
十二.車輪の脱落
十三.鉄道施設の損傷などにより3時間以上鉄道車両を休止させた時
十四.高速自動車国道、自動車専用道路で3時間以上通行止めさせた事故


3. 報告書の提出(自動車事故報告規則3条)

    30日以内に、自動車事故報告書を国土交通大臣に提出しなければならない。

Ⅲ.特別な事故(自動車事故報告規則4条)
  速報・・・電話、電報等により、24時間以内に、その事故の概要を速報しなければならない。

※  速報が必要な事故の種類は別紙の資料参考
 

事故に関する○×問題のポイント

国土交通省へ報告が必要な事故と必要でない事故があることを理解しているかどうかを問う問題が多い。

あと、国土交通省令で定める重大事故(報告が必要な事故)の場合、その報告をいつまでするのか?

その重大事故の種類によって速報が必要であるか、それとも報告書による報告だけでよいのか?その違いを把握しているかを問う問題。

あとは、重大事故の種類を把握しているかどうかを問う問題が多い。

あとは書類(事故の記録)の保存期間が3年間であることを理解しているかどうかを問う問題が多い。

 

例)

タクシー運転手が疾病により営業途中に自走できなくなった。しかし、他の車両や、歩行者との接触等の事故は起こしていない。このような場合は、事故の報告をする必要はない→×。
たとえ、他の車両とぶつかっていなくても、運転者の疾病のより運行できなくなったこと自体が事故である。
なおかつ、この種の事故は国土交通省令で定める重大事故であり報告が必要になる。

事故の種類と報告に関して別紙資料参照

 

§5.「運賃」<道路運送法 第9条の3>

運賃の申請手続き→認可。

◇初めて開業するとき・・・「設定するとき」→認可
◇一度認可がおりた運賃を「変更するとき」→認可ただし変更するときは「なぜ変更したいのかその理由が必要になる<道路運送法施行規則 第10条の3 >

※   運賃・料金に関する○×問題・・・・
手続方法が「認可」か「届出」なのかを理解しているかどうかを問う問題がよくでる。
「設定」の認可申請のときは理由が必要ない。しかし、「変更」の認可申請のときは理由が必要。これを理解しているかどうかを問う問題が多い。

<関係通達:一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度について>
距離制運賃(時間距離併用運賃含む)
 

運賃基本運賃距離制運賃(時間距離併用運賃を含む)

時間制運賃

定額運賃

割増運賃

割引運賃

すべて認可手続きが必要!!
 

※   関係通達からよく出る○×問題・・・・

時間距離併用運賃の仕組みについて問題がよく出る。

定義・・・

『時間距離併用運賃は一定速度以下になった場合の運送に要した時間を加算距離に換算し、距離制メーターに併算する

※上記の下線部分を書き換えた問題がよく出題される。

運賃の基本は距離制が基本。ゆえに、時間距離併用で、運送に要した時間の部分を距離に換算して距離制に併算する仕組みになっている。引っ掛け問題でよく、「運送に要した時間を、時間制運賃に換算して・・・・」と、
 置き換えて○×問題として出題することが多い。

 

割引の種類・・・ 
①公共的割引→障害者割引のこと
②遠距離割引→文字通り・・・遠距離客にサービスする割引
③営業的割引→クーポンとか回数券、団体割引、大口割引など。クーポン券を5000円分買うと5500円分の券がついてくる・・・このようなことを営業的割引という。

割引に関してよくでる○×問題・・・

割引に関しては、割引が重複できる場合と出来ない場合の違いを理解しているかどうかを問う問題が多い。

重複とは・・・・割引の特典をダブルで用いて、ダブル割引すること。

重複できる場合の例・・・・

①と②の重複の例・・・
障害者手帳を持っている人が遠距離利用した場合など。遠距離割引と障害者割引の両方の割引が適用できる。

①と②と③の重複の例・・・

障害者手帳を持っている人が遠距離利用して、障害者割引した金額をクーポン券などで支払うような場合。

 

重複できない場合の例・・・・

①、②、③各区分のなかで重複するような場合。

①知的障害者手帳と①身体障害者手帳の両方を持っている人が、タクシーを利用して、清算するとき両方の手帳を出して、知的障害者割引の割引率で割り引いて、さらに障害者割引の割引率で割り引くこと。
 このような割引の重複はできない。

この様なときはいずれか高い率を適用して、割引の重複は出来ない。

 

§6.「料金」<道路運送法第9条の3>

料金の申請手続き・・・基本的に認可。

ただし旅客の利益の及ぼす影響が比較的小さい料金(国土交通省令で定める料金)はあらかじめ届出。
 

◇初めて開業するとき・・・「設定するとき」→認可
◇一度認可がおりた料金を「変更するとき」→認可ただし変更するときは「なぜ変更したいのか?」その理由が必要<道路運送法施行規則 第10条の3 >

設定のときは理由が必要なく、変更のときは理由が必要・・・これは運賃のときと同じ。<道路運送法施行規則 第10条の3>

 

「旅客の利益に及ぼす影響が比較的小さい国土交通省令で定める料金」とは・・・

時間指定配車料金・・・・・・例:「○時○○分にタクシーお願いします」
車両指定配車料金・・・・・・例:「ワゴン車をお願いします」
この2つの料金に関しては、「あらかじめ届出」の手続でよいことになっている。

 

※料金に関する○×問題・・・

料金に関する問題は、運賃の問題と同様に手続方法を理解しているか?「認可」なのか?「届出」なのか?

「届出」だったら、あらかじめの届出なのか?「遅滞なく届出」なのか?これを理解しているかどうかを問う問題が多い。届出だけでよい料金の種類を理解しているか、どうかを問う問題も多い。

< 例 >

運賃、及び料金(国土交通省令で定めるものを除く)は認可手続である?・・・○か×か?

国土交通省令で定める料金は「時間指定配車料金」と「車両指定配車料金」である?・・・○か×か?

国土交通省令で定める旅客の利益に及ぼす影響が比較的小さい料金は、事前の届出(あらかじめ届出)なのか?事後の届出(遅滞なく届出)なのか?

問題文の文脈をイロイロ変えてこれらの内容を問う問題が多い。

料金の種類・・・四つ

①待ち料金

②迎車回送料金

③サービス指定予約料金(時間指定配車料金&車両指定配車料金)

④その他の料金

 

※ちょくちょく出る○×問題

この料金の種類に関する問題もちょくちょく出題される。

とくに「その他の料金」 これを忘れることが多い

料金の種類は四つ・・・

よく問題で料金の種類は、待ち料金と、迎車回送料金とサービス指定予約料金(時間指定配車料金と車両指定配車料金)の三つである・・・・○か?×か?

答は×である。「その他の料金」をよく忘れることがある。実務上、具体的にどのような料金が「その他の料金」なのが思いつかないためにこれをよく忘れる。

 

運賃と料金に関してポイントを表でまとめるとこのようになる。

運賃>認可

 基本運賃

  ①距離制運賃

  ②時間制運賃

  ③定額運賃

   割増運賃

   割引運賃

料金>認可

   ①待料金

   ②迎車回送料金

  >事前の届出

   ③サービス指定予約料金(時間指定配車料金&車両指定配車料金)

  >認可

   ④その他の料金

 

§7.「運賃及び料金」<標準運送約款 第5条>

第1項

「・・・乗車時において地方運輸局長の認可を受け実施しているもの・・・」

この意味を理解しているかどうかを問う問題が多い。

「支払」は下車時にするもの。これと勘違いして、上記のような文が問題に出てきたとき、×と間違えた解答をしてしまう人がいる。

また問題文を、「・・・下車時において地方輸局長の認可を受け実施しているもの・・・」と書き換えて○×問題に出題することが多い。

「支払」は下車のときだから○だろうと勘違いしてしまう人がいる。

※これは支払のタイミング(運賃及び料金の収受のタイミング)のことに関して書かれた条文ではない。

運賃改定のときに関する問題である。

例えば、1月1日から新しい運賃体系に変わるとします。

初乗り ¥660-から¥710-に変わるとします。12月31日の23:55にお客が乗車してきて、丁度日付が変わった1月1日0:02に下車になったとします。このような時、・・・

「お客さん・・・・本日(1月1日)から新しい運賃なので、¥710-いただきま~~す」

このようなことは出来ないということです。

お客が乗車してきたときに認可を受けている運賃は¥660-。ですから、日付をまたいで下車したときが、新体制の運賃の認可を受けている時間帯であっても、旧体制で認可を受けていた運賃を請求することになります。

 

第2項

収受できる運賃及び料金に関する問題・・・

お客からもらえる金額は時間貸しのとき以外、メータ器で表示された金額を請求することができることになっている。

基本中の基本で初めてタクシー運転手になるときに講習でやっているはず。でも、なぜか引っ掛かって間違えてしまうことが多い問題がここから出される。

 

もっともよく出題される問題は・・・

「収受できる運賃及び料金は・・・・すべての場合、メータ器の表示額によります。」

又は、

「収受できる運賃及び料金は・・・・いかなる場合でも、メータ器の表示額によります。」

と出題されることが多い。普段、時間貸しなどあまりやらないし、初めて運転手やるときに「メーター器の金額以外請求してはダメですよ」と教えられた為か、この問題に引っ掛かってしまい答を○と答えてしまう人がいます。

正しい答は・・・・×です。

 

§8.道路運送車両法のポイント

各種登録手続の違いの理解(移転登録、変更登録の違い

各種手続の手続期限(15日以内

点検整備に関する事項、点検整備記録簿の保存、記載事項、保存場所

自動車検査証(車検)の有効期限

検査証、検査標章の備え付け

検査証の返納等(遅滞なく)←注意!!

以上がポイントとなります。

 

<各種手続の種類、違い・・・手続期限>
① 初期登録・・・試験に出題されない(実務必携に掲載されていません)新車購入時(初めてナンバープレートつけるとき)
② 移転登録→所有者(ユーザー)が変更したとき・・・通称、名義変更
③ 変更登録→①と②と④以外において登録科目に変更があったとき
④ 永久末梢登録→廃車。出題率が少ない

 

以上四つの手続がありますが、試験に必ず出題されるのは、移転登録と変更登録の違いを把握しているかどうかを問う問題です。

よって・・・・

移転登録→所有者の変更の時に必要

変更登録→それ以外の変更の時に必要
        というように覚えてしまっても差し支えないです。

※    永久末梢登録もたま~~~に出題されますので、「永久末梢登録」=「廃車」というくらいは覚えておいてください。

問題文に、「自動車を滅失、解体・・・」とか「自動車の用途を廃止・・・」とかが出ていたら永久末梢登録に関する問題です。

これらの手続に共通して言えるのは、その手続を事由のあった日から、15日以内に手続を済ませることです。

 

車両法で何らかの変更に伴う手続はすべて・・・・15日以内です。

「返納」を除いて・・・※(検査証の返納のところで説明)

 

<点検整備に関する事項、点検整備記録簿の保存、記載事項、保存場所>

◆道路運送車両法第48条 第一号

事業用自動車の用に供する自動車(タクシー、ハイヤー)⇒3ヶ月に一度整備が必要

通称・・・3ヶ月整備(定期整備)

◆道路運送車両法第49条・・・点検整備記録簿

点検整備記録簿の保存場所⇒自動車に据え置き(自動車の中に保存)

※    「営業所に保存しなければならない」⇒×

点検整備記録簿の保存期間⇒記載の日から1年間(自動車点検基準第4条 第2項)

※    「点検整備を実施した日から1年間・・・」⇒×

出題率ほぼ100%です

<自動車検査証(車検)の有効期限>

道路運送車両法第61条

旅客を運送する事業用自動車のように供する自動車(タクシー、ハイヤー)の検査証(車検)の有効期限は1年間

<検査証、検査標章の備え付け>

道路運送車両法第66条

検査証⇒車検証・・・自動車に備え付け

検査標章⇒フロントガラスに貼ってあるシールこれらに関しては・・・

検査証=車検証。

検査標章=車検の満期を示す、フロントガラスのルームミラー設置箇所付近に張ってあるシールであることを把握していて、それを自動車に携帯している(シールに関しては教示している)ことが義務付けられていることを理解していれば大丈夫です。

時々出題されます。
 

<検査証の返納等(遅滞なく)←注意!!>

道路運送車両法69条

ここは第2項のみ出題されます。出際率は半々です

自動車の使用停止を命じられたとき(車両停止処分)⇒検査証(車検証)を国土交通大臣に返納しなければならない⇒遅滞なく!!

※    これに関しては15日以内ではありません。

検査証の返納(道路運送車両法第69条)

自動車登録番号標(ナンバープレート)の返納(道路運送車両法第20条)

以上の二つに関しては、15日以内ではなく、遅滞なくです。

「返納」という言葉が出たら「遅滞なく」と覚えてください。

 

§9.法令勉強のコツ、共通ポイント、趣旨。
<法の仕組みを覚える>

○×問題とは直接関係ないが、法の仕組みを覚えておくと、勉強がはかどり、調べやすくなり、また、うっかりミスがなくなる。

仕組みは次のようになっている。

 

法律>

   政令(内閣が発令する命令)

     >省令(国土交通省省令。国土交通省が発令する命令)

        >国土交通省通達(国土交通省が各地方運輸局へ出す通達)

         >地方運輸局通達(各地方運輸慾がその管轄の区域の事業者へ出す通達)

 

事業運営、運輸関係で大まかな概要を書いたのが法律。

政令はあまり問題に出ない。

省令。(○○規則などと呼ぶもの)は具体的に細かくかいた運輸事業のガイドライン

通達。事業主別に応じて各省庁の担当が事業者を管轄する局を通して事業者へ出す指示事項

国土交通省通達と各地方通達(私たちの場合、関東運輸局通達)はまず同じ。ほんの一部だけ関東独自アレンジがある。資金の面で。

 

地方運輸局通達には国土交通省が出した通達に基づいて、事業者へ対しての細かい指示が書かれている。

 

<○×の判断の仕方を覚える>

○か×かの判断基準は・・・

出題された問題が法的に「是か?」、「否か?」で判断する。

当然のことだが、ある程度勉強してくるとこれができなくなる。

 

<問題と関係条文の関係・・・>

この問題はどの関係条文から出題されているのかを把握できないと、わかっていても間違えることがある。上記の法の仕組みを見ればわかるように、大まかな本法があり、そのしたに、具体的命令、通達がある。ゆえに、同じ事項に関して、大まかに法規則を設けて、その下で細かく実施命令が出されて、細かく指示通達が出ている。ゆえに、法律、省令、通達はリンクしているのです。

法律での表現と、省令、通達での表現方法には大まかさと細かさで違いが出ます。

だから・・・

問題文がどちらから出題されているのか把握できないとわかっていても間違えてしまうことがあるのです。

特に、事業を休む時の手続き問題と、事故報告に関する問題です。強いて言えば、この二つに関してだけ、この問題は法律から出題されているのか?省令から出題されているのか?通達から出題されているのか?を出題された時点で把握できないと、判っていても間違えることがあります。

このような間違いを始めるときはだいたい、勉強が半分くらい出来上がってきたときです。

 

<事業の休止・廃止に関係する問題・条文>

道路運送法38条。ここには事業を休む時(休止)、辞めるとき(廃止)の時の手続きに関する法律が書かれています。

私たちは「事業を休止・廃止した時は、その時から30日以内に届け出なくてはならない」

ことになっています。

しかし、この法律だけしか関係条文がないとしたらどうなるでしょう・・・・定休日で休む時も毎回休止届出さなければならないということになります。ゆえに、実用的なガイドラインがないことになります。

この法律は個人タクシー事業者だけでなく、法人事業者、バス事業者にも関係して書かれた法律です。タクシー会社も全車両を休車するときは事業を休止することになります。

行政も定休日ごとに書類を出されては処理が間に合いません。だから、通達で実用的な指示を出しています。

休止期間が30日までなら、そのことを日報に書けばよい。30日を超えるときは、運送法38条の条文にしたがって休止届を出さなければならない。ということになっています。

よって、事業の休止手続きに関しては、「休みが30日までなら日報に書いて、それを超えるときは休み始めた日から30日以内に休止の届け出を書面で提出しなければならない」

ということなのです。

これを把握していても、間違えることがあるのです。ある程度勉強が出来上がってきた人は特に・・・

 

実務的に必要な通達のほうを重視して覚えていると間違えます。30日までは日報。30日を超えるときは届ける。これだけを覚えていると・・・

問題:個人タクシー事業者は事業を休止するとき、行政庁へ30日以内に事業の休止届をしなければなりません。

この問題は○か?×か?「30日までは日報でOK・・」の文脈だけを覚えていると、肝心な本法を忘れがち。
 

回答者:「なんだ、この問題30日以内の休みなのかそうでないのか書いていないじゃない・・・だからこれは×だ」

と間違えた判断をしてしまうのです。

この問題は運送法38条から出題された問題。あなたは、運送法38条の基本をわかっていますか?と試されている問題なのです。運送法38条には「休止するときは休止してから30日以内に届け出を出しなさい」と書かれているのでこの問題は法律と照らし合わせて、「是」か「否」の判断をすると「是」と判断される。ゆえに、答えは○となります。

 

<事故に関する問題・条文>

あとは、事故に関する問題が同じような種類で間違えてしまうことがあります。

道路運送法29条(抜粋)

一般旅客自動車運送事業者は・・・・国土交通省で定める事故を起こした時は遅滞なく報告しなければならない。

と書かれています。

その報告義務がある事故の種類を記載したのが「自動車事故報告規則」という国土交通省令です。

この事故報告規則のほうでは、何種類かの事故の種類が書かれていて、それらの事故を起こした時は30日以内に報告しなければならないと書かれています。
ようは・・・

実務上、JR横須賀船への転落事故のような省令で定める重大事故を起こしたら30日内に報告しなければならないのです。

この30日以内というのはよく出る問題なので、みんな早めに覚えます。

でも、それを覚えたころ、本法では「遅滞なく報告しなければならない」と表現していたのを忘れがちになります。

それで判っていても、次のような基本的問題が出たときうっかりミスをします。

 

問題:個人タクシー事業者は転覆、転落などの国土交通省令で定める重大事故をおこしたとき、遅滞なく報告しなければならない?

回答者:「事故は30日内の報告だろ・・・・だから×」

 

こんなうっかりミスをしてしまいます。答えは○です。

 

問題;「個人タクシー事業者は運転手の疾病により運行不可能となった場合、道路運送法の規定により30日以内に事故報告書を提出しなければならない」

回答者「運転手の疾病は・・・重大事故の種類の一つ、っで、30日以内の報告はその通りだから、これは、○」

・・・・・

違います。

問題文をよく読んでください。「道路運送法の規定により30日以内に報告しなければならない」という内容が問題文に書かれています。30日という表現を使っているのは自動車事故報告規則という国土交通省令です。道路運送法のほうでは、「遅滞なく」報告しなければならない。と書いてあるのです。だから、この問題は「道路運送法の規定に30日以内に」と書いてあるところが法的に「否」なので、×です。

この問題文を正しくするならば、

「自動車事故報告規則の規定により30日以内に報告」

と明記するか、

「道路運送法の規定により遅滞なく報告」

と明記し直さないと○の問題にはなりません。

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